高校野球に導入予定のタイブレークの意味とは?いつから施行?

今回は、高校野球に導入予定のタイブレークの意味、そしていつから施行が予定されているのかを紹介していこう。

春のセンバツ2017で、延長15回引き分け再試合が2試合連続で起こったことは覚えているだろうか。

大会7日目の第二試合、福岡大大濠対滋賀学園では、福岡大大濠の三浦が196球の完投。息もつかせぬ緊迫した試合で、結果は1-1の同点。そのまま15回を終え、再試合となった。

もうひとつは同じく大会7日目の福井工大福井対健大高崎。こちらは両者譲らぬ点の取り合いとなった。9回表に福井大福井が1点を勝ち越し、試合が決したかと思われたが、その裏に健大高崎が執念で追いついた。そのまま試合は膠着し、7-7のまま引き分け、再試合となった。こちらも福井工大福井の先発・摺石は193球の熱投。「終盤は肩が上がらなかった」というほど、死力を尽くした。

そして、これが結果的に高校野球の試合方式を改める必要性があると判断された試合にもなったのである。

日本高野連は3年前から、投手への負担を減らす試合方式を検討してきた。

日本より球数に厳しく、肩は消耗品と判断しているメジャーリーグの思考や、WBCでの球数制限も影響しているのだろう。

今回、高校野球で本格的に導入が検討されているのは「タイブレーク方式」。

さて、ではまず、タイブレーク方式の意味とはなにかをみていこう。

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高校野球に導入予定のタイブレークの意味とは?

さて、WBCを観ていた人なら、実際にタイブレーク方式が導入されているところを目の当たりにしただろう。

タイブレーク方式とは、”延長12回を超えて試合が決着しなかった場合、13回からはノーアウト1、2塁から試合を始める”という方式である。

つまり、”強制的に試合が決着しやすい場面を作り出す”ということである。

ノーアウト1、3塁であれば、ノーヒットでも得点する可能性は高い。スクイズや内野ゴロの間に1点、フォアボールをひとつでも出せば満塁と、これまで膠着していた試合を動かすきっかけになるだろう。

また、試合が決着しやすいということは引き分け、再試合になる可能性は低くなる。

延長15回を投げ切った次の試合で、また9イニング投げるという負担が減らせるのである。また、日程消化も順当に行うことができるという意味合いもあるだろう。

 

しかし、反対意見も多い。

「強制的にチャンスの場面を作った得点で勝っても、納得できないのではないか」

「球数制限ならともかく、延長するイニングを減らしただけでは投手の負担はあまり変わらないのではないか」

「大会日程を長くし、休養日を作るといった工夫をせず、いきなり試合のルールを変更するのはいかがなものか」

「高校野球らしさが薄れる」

など・・・。

導入は検討されているものの、こういった反対意見も聞き入れる必要はあるだろう。

確かに、強制的に”作られた”チャンスで得点し勝ったとして、納得できないファンもいると思う。

果たして、導入される日は来るのだろうか?

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高校野球のタイブレークはいつから施行?

実はかなり話は進んでいる。

今年の11月の理事会で、春のセンバツに導入するか否かの最終決定を下すというのだ。

当初は反対意見のほうが多かったものの、現在は賛成派のほうが多く、そのことがきっかけとなり本格導入の意向となった。

一昔前の「高校球児らしさ」という、”呪い”にも似た言葉はすでに過去のものとなっている。

ビデオ判定の導入や、最新機器を用いたデータ収集など、新時代の野球に生まれ変わろうとしているこの時代。

高校野球からプロを目指す未来のスターを守るためにも、必要なルールとなってきたのかもしれない。

※9/19追記

2018年の春のセンバツ大会から、本格的にタイブレーク方式を導入することが正式に決まった。

延長12回までは通常通りの延長戦を行い、決着が着かなかった場合に13回からタイブレーク方式となる。

走者等の状況については、今後の協議次第で決まっていくようだが、遂にタイブレーク方式が導入されるようになったのだ。

日本高野連は5月に47都道府県の高野連にアンケートを実施し、回答の結果は「おおむね賛成」が38連盟、「時期尚早」が2連盟、「回答なし」が7連盟という結果だった。ほぼすべての連盟が、タイブレーク方式に賛成。

選手の健康を守る為にも、重要なルールとなってくる。

まとめ

個人的な意見を言わせてもらえば、私はこの「タイブレーク方式」に賛成である。

先述したが、「高校球児らしさ」という、高校野球ファンが口々に語るこの言葉は「呪い」に近い、と思っている。

この言葉こそが、これまで高校野球を停滞させ、結果的に何人もプロを目指す選手が潰されてきたように思えてならない。

確かに、死力を尽くし、汗を滴らせながらも投げ込む投手は美しさすら感じるほどに一生懸命であり、胸を打たれることはある。

だが、まだまだ成長過程にある高校生が、最新鋭のマシンで身体を作り上げたプロでさえ投げないような球数を連日投げていれば、いつか確実に故障する。

肩は消耗品であり、投げれば消耗していく。プロのスカウトは、いい投手がいると、「どうか甲子園に出ませんように」と思うそうだ。

甲子園にいけば、その分肩は消耗されるし、甲子園という舞台で変に力が入り、フォームを崩す子もいるからだとか。

大谷翔平がここまで大成したのも、最後の夏に甲子園に出場しなかったのが大きいのではないか、という見解もあったほどだ。

 

タイブレーク方式を導入すれば高校球児の一生懸命さは失われてしまうのか。そんなことはない。

どんな場面であろうと、勝利に貪欲なその姿勢が失われることが無いということは、誰より高校野球ファンが知っているはず。

彼らは、高校生。興行として、ファンを楽しませる必要があるプロではない。

欲しいのは「頑張っていた」という評価ではなく、勝利なのだ。どうかそのことも踏まえ、タイブレーク方式の行く末を見守ってほしい。

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