今回は、野球選手には致命傷ともいえる、送球イップスの原因と克服方法(治し方)についてを紹介していこう。

イップスという言葉をご存知だろうか。

これは、精神的な原因などで、自分の思ったように身体が動かなくなってしまう運動障害のことである。

本来はゴルフから用いられ始めた言葉だが、現在では多くのスポーツでもこの言葉が取り入れられている。

ゴルフでいえば、目の前にあるカップに入れようとしているのに、遠くへと飛ばしてしまったり、まったく力足らずで届かないなどといった症状となる。

それでは、野球のイップスの原因とはどんなものなのか。まずはそのことについて紹介しよう。

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野球選手の送球イップスの原因

野球でのイップスとは、簡単に言ってしまえば”上手く投げられなくなる”ことである。

イップスの始まりは、「試合で暴投してしまった」、「送球ミスをした」という理由から、「キャッチボールで相手の胸に投げられず、相手に嫌な顔をされた」という些細な理由まで様々である。

そういったことが引き金となり、「次こそは上手くやらなくちゃ・・・」というプレッシャーや緊張が生まれ、投げることに恐怖感を覚えるようになる。

そうすると、身体は投球動作に入るたびに緊張し固まってしまうようになり、また暴投を繰り返す。またそれがプレッシャーや緊張となり、更に身体は動かなくなっていく・・・という負のループに陥ってしまうのだ。

 

ここで、実際にイップスに陥ってしまったプロ野球選手を見てみよう。中日ドラゴンズに所属する捕手・桂選手である。(※現在は克服している)

途中から入りだす野次には腹が立つが、注目してほしいのはその送球。投手→捕手間は18.44mだが、その間でさえまともに返球できていない。

もちろん、普段の彼はプロに入れるほどに優れた捕手。決してこれが本当の実力では無い。

しかし、一度イップスに陥ってしまうと、これほどまでに送球に障害が生じてしまうのである。

また、この動画の場合には、野次も大きく関わってくる。見られているという緊張感、ミスが許されないようなプレッシャーの掛かる状態、ミスをすれば大きく野次られるという状況は、イップスにおいて考えられるかぎり最悪な状況である。

桂選手はイップスになった原因を、「L字型ネットを使っている打撃投手に返球する際、ネットに当たらないように送球を意識していたらイップスになった」と語っている。

このような、何気ない練習の場合にでもイップスは発症してしまうのである。

 

それでは、桂選手はどのようにイップスを克服したのか?また、今現在イップスで悩んでいる選手は、どのように克服すべきなのかを紹介しよう。

送球イップスの克服方法(治し方)

まず、桂選手はどのようにイップスを克服したのか。それは、コーチとのマンツーマンでの居残り練習であったと語る。

前田コーチがマウンドに立ち、桂選手はそれを捕手として受け、返球する。その際、左右のバッターボックスにネットを置き、狭い空間の中で返球するという反復練習を行った。

一日に300球、1ヶ月半もの間、ひたすらにこの単純な反復練習を繰り返し、正しい返球の動き、ステップの仕方を改めて作り直していったのである。

しかしこれで終わりではない。1ヶ月半もの反復練習を終え、今度は幅1メートルの通路で反復練習。

通路には柱もあり、そこにボールが当たれば前田コーチの身体にボールが当たってしまう。そのような環境で、何度も身体にボールをぶつけられながらも、イップス経験者で自分も苦しい思いをしたという前田コーチはひたすら練習に付き合い、見事克服に至った。

克服に至るまでトータル3ヶ月。その間、ひたすらに反復練習を繰り返す日々は、辛い日々でもあっただろう。

 

さて、しかしイップスはプロ野球選手だけの話ではない。あの天才・イチローも、高校時代には極度のイップスに陥っていた。

少年野球から高校野球まで、イップスになってしまう可能性は十分にあるのだ。

それでは今現在イップスに悩む選手は、どのように克服していくべきなのか。

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正しいフォームを意識し、ネットスローを繰り返す

イップスは、相手に投げる際に特に症状が出る。それは、相手に良いボールを投げなければいけないという緊張が生まれてしまうからだ。

まずは、どんなに暴投しても良いという、精神的に余裕のある環境で、ネットスローを反復し、正しい投げ方をもう一度身体に覚えこませよう。

このとき、少しでも身体が強張っていると思ったら、大きくノビをして、リラックスすることを心掛ける。イップスによる暴投は、身体の強張りによって生まれる。リラックスした状態で投げるということが重要なのだ。

ポジティブなキャッチボールをする

これはまず、キャッチボールをする相手に「どんなに暴投しても、気にしないでほしい」という旨を告げ、相手をネットに近い場所に配置する。

そこから、マウンド間程度の距離を取り、キャッチボールを開始しよう。

暴投をしても気にせず、そのイメージは決して引きずらないように意識する。そして逆に、相手の胸に良いボールが投げられたときには、そのイメージだけは強く頭に残すようにする。

悪いイメージを残さず、良いボールを投げられたときだけを強く意識することで、「自分は上手く投げられる」というポジティブなイメージを、自らに植え付けるのである。

この際にも、身体の強張りを感じてきたら一度中断し、ストレッチやノビをして、身体をリラックスした状態にすることを忘れずに。

このとき、相手役を務める人は、暴投をされても気にする素振りは見せないようにしてほしい。

暴投をされても「オーケーオーケー!」と明るく声をかけ、良いボールが来たときには「ナイスボール!」と声を掛けてあげる。

これにより、イップスの人は少しずつ緊張による身体の強張りが解け、良いボールも増えてくるようになるだろう。

時間が掛かっても決して焦らない

これはとても重要な事項である。先述したプロ捕手・桂選手は、コーチとのマンツーマンで一日300球を三ヶ月もの間繰り返し、ようやく克服に至った。

プロが毎日行っても、症状の深刻さによってはこれほど時間が掛かってしまうのだ。

野球以外にも時間を割かなければいけないアマチュアや学生であれば、これ以上の時間が掛かってもおかしくはない。

ここで焦りが生じてしまえば、「はやく治さなければ・・・」という緊張が大きくなり、イップスの症状は更に長引いてしまう可能性が非常に高い。

大切なのは、ゆっくり、じっくり克服していくこと。高校生の3ヶ月間はとても貴重であり、少しでも無駄にはできないと思ってしまうかもしれないが、それでも焦りは禁物。

むしろ、投げられない期間があるのであれば、トレーニング期間ができたとポジティブに考え、いざ投げられるようになったときには更に速いボールが投げられるように、身体を鍛えても良い。

イップスは身体よりも心による運動障害である。物事を常にポジティブに捉え、何事も上手くいくと頭で意識すれば、おのずと身体は回復に向かっていくことだろう。

まとめ

いかがだっただろうか。

今もイップスに悩む選手は少なからずいることだろう。もどかしい気持ちで、焦ってしまうのも分かる。

しかし、そこで諦めたりしてしまえば、その後の長く続く野球人生を無駄にしてしまう。

イップスは必ず、いつか治る。しっかりと治す努力をすれば、その分もっと早く治る。

まずは自分の身体、そして心としっかり向き合うこと。そして、身体と心のバランスを保つことを意識すること。

苦しい期間かも知れないが、これも野球人生に必要な経験と捉え、ゆっくりと治していこう。

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