今回は、自分の守るべきポジションに悩んでいる人向けに、野球のポジション(守備位置)の適性・選び方を解説していく。
野球におけるポジション選びというのは、野球をこれから始める人には特に重要な問題だろう。
野球の花形であるピッチャーか、縁の下の力持ちであるキャッチャーか、機敏にファインプレーを見せる内野手か、グラウンドを縦横無尽に駆け回る外野手か・・・。
すべてのポジションに魅力があり、野球を始めようとする人にとっては悩ましいところだろう。
また、監督にとっても選手のポジション配置は重要な課題であり、選手の適性を見抜き、選手に相応しいポジションを与える事が出来れば、チームは何倍にも強くなっていくことだろう。
それでは早速、どの守備位置に、どのような選手を配置していくのが適性なのかを見ていこう。
野球のポジション(守備位置)の適正・選び方を解説!
どのような選手が、どのようなポジションに向いているのだろうか。投手から順に見ていこう。
ピッチャーの適性
日本において、野球の花形ともいえるピッチャー。試合において、勝負を最も左右するポジションでもある。
「肩が強い」や「球が速い」ということも適性のひとつであはあるが、最も重要視すべきは「コントロールの良さ」にある。
”全力で腕を振った上で”ストライクが取れる選手で無ければ、試合は作れない。フォアボールを連発するような選手は、守備のリズム、ひいては攻撃のリズムまで崩しかねないからだ。
狙ったところに100%ボールを投げられずとも、ストライクがある程度取れることは重要である。
また、メンタルの強さも大切。試合を左右する重要なポジションでもあるので、「打たれたらどうしよう」とか「ストライクが入らない」と動揺しないような心を持っていなければ、投手は務まらない。
勝気な性格、そして忍耐力の持ち主こそ、ピッチャーに相応しいだろう。
キャッチャーの適性
キャッチャーは、「縁の下の力持ち」、「扇の要」とも言われる、チーム全体を支配しつつ支えなければいけないポジションである。
有名な言葉に「打ち取ったらピッチャーのおかげ、打たれたらキャッチャーの責任」という言葉もあり、ピッチャーの力を最大限引き出しながら、内野・外野の守備位置を意識したり、バッターのクセなども把握していく必要があるだろう。
また、技術面でいえば、確実にボールをキャッチングできること、ボールを恐れず身体に当ててでも止められることも重要になる。
少年野球のキャッチャーであれば、まずは確実にボールをキャッチングできることを重要視しても良いだろう。
ピッチャーはキャッチャーのキャッチングによって自分の調子を判断しているものだ。良い音で、しっかりキャッチングされると「今日の自分のボールは良い」と認識し、調子は上がっていく。
しかし反対に、キャッチした際の音が鈍かったり、ミットからボールをこぼされると、調子が沈んでいくのである。
また、ワンバウンドしたボールを身体に当て、確実に身体の前に落とすなどの技術や勇気も必要になる。
落ち着いて全体を見渡せる性格の持ち主に向いているポジションであるだろう。
ファーストの適性
ファーストの選手は、キャッチャーに次いで捕球の機会が多いポジションである。
なので、ファーストの選手は他のポジションの選手にとって”的”のような存在が適している。背が高い選手や、大柄の選手はファーストに適正があるといえるだろう。
また、捕球体勢の都合上、けん制のタッチのしやすさや、捕球時にキャッチャー方向に身体を向けられる利点から、唯一左投げの選手が守ることのできる内野ポジションでもある。左投げの選手にも適しているといえるだろう。
細かい動きよりも、しっかりした捕球が求められるため、俊敏性は他のポジションに比べれば重要度は低い。守備が苦手で、打撃に定評のある外国人選手などがファーストを守っていることが多いのは、このためである。
打撃に魅力のある選手や、柔軟性を持っている選手には、最もおすすめしたいポジションだ。
セカンドの適性
セカンドは機敏な動きが求められ、一瞬の状況判断も必要とされるポジションである。
セカンドの仕事は多く、守備範囲も広い。ゲッツーを取る場面や、ベースカバーに入る場面、バックアップや中継プレーと多岐に渡る。
また、速い打球にすぐさま反応し、捕球後はどこに投げれば最善であるかの一瞬の状況判断が必要となるため、俊敏性や小回りが利く選手、野球の知識に詳しい選手に適性があるといえるだろう。
一塁に最も近いポジションであるため、肩の強さはさほど重要ではないが、捕ってから投げるまでの速さはかなり重要になってくる。
ゴロを捕球した後、瞬時にボールを正しく握り、適切な場所にボールを投げられる能力は必須といえる。
頭の回転が早く、反射神経の高い選手に向いているポジションである。
サードの適性
サードは通称”ホットコーナー”と呼ばれるポジションであり、内野の中でも特に強い打球が飛んでくるポジションである。
右打者が多い野球において、思い切り引っ張った打球はサード方向に飛びやすいからだ。
かといって、速い打球を恐れて後ろ気味に守っていると、ふとしたバント処理に対応ができない。サードはダッシュで前進しバント処理を行うことも多々あるので、速い打球に恐れず、素早く反応できる選手が求められるだろう。
また、ファーストへの距離が遠いため、肩の強さも必要になる。セカンド、ショートに比べれば俊敏性はいらないかもしれないが、一瞬の反射神経、的確にファーストへ送球できる肩の強さを持っている選手、更に言えばバッティングが得意であり、筋肉質な選手が適任といえる。
速いゴロやライナーが飛んでくる機会の多いポジションなので、ボールを恐れない強心臓を持った選手に向いている。
[ad#ad]ショートの適性
ショートはメジャーリーグにおいて最も人気のポジションであり、日本でのピッチャーよりも競争率が高い。
セカンド同様、俊敏さが求められ、カバーリングなど、行う仕事が多いポジションであり、セカンドよりもファーストへの距離が遠いため、肩の強さも重要視される。
特に、右打者の打球が転がってきやすいポジションであるため、打球に追いつくまでの反応の速さは俊敏さ、捕ってからファーストへボールを送る動作の速さ、そして送球したボールのスポードも必要であるので、内野手の中でも最も守備の上手い選手が適任だろう。
逆シングルキャッチなど、ケースによって最適な動きが求められるポジション。セカンド同様、頭の回転が速い選手や、広い視野を持って考えられる性格の選手に向いているだろう。
レフトの適性
外野手は主にバッティングが得意な選手が守ると思われがちだが、決してそのようなことは無い。
外野手がボールを後ろに逸らせば大量失点を招いてしまったり、不用意にランナーを進塁させてしまうからだ。
プロ野球においても、守備の苦手な外国人選手が守っていることが多いが、あの場合はエラーによる失点を含めても打撃において試合に出すメリットがあるからこそ成り立つのである。
レフトは右打者の打球が引っ張った際の強い打球が飛んでくる可能性が高く、その打球の飛距離を判断し、確実に捕球する能力が求められる。
さらに、これは外野手全般に言えることでもあるが、打球は飛距離が伸びれば伸びるほど、ボールに掛かっている回転が打球に変化をもたらすため、予想よりも飛んでこなかったり、左右にブレたりすることもあるので、それを含めた打球への判断力が必要になるだろう。
また、クロスプレーの場合には0.5秒の差でセーフかアウトかが決まる。そのため、肩の強さや中継への正確な送球も求められる。
センターの適性
センターは、外野手の中でも最も守備範囲の広いポジションである。
レフトとライトの場合は、どちらかがファールゾーンとなっているが、センターに飛んでくる打球は全てフェアゾーンにあるボール。その分、前後左右への素早い動きが必要であり、いち早く打球に追いつく必要性もあるので、足の速い選手に向いているだろう。
また、キャッチャーと同様、球場全体を見渡せるポジションでもある。キャッチャーが内野手のポジショニングに気を配っているのであれば、センターの選手は外野手のポジショニングを調整していく視野の広さが求められる。
守備において重要な、キャッチャー、ピッチャー、ショート、セカンド、センターを結ぶ”センターライン”の最後方ラインにもあたるので、打球への判断力はもちろん、広い視野を持って試合に臨める選手が適任と言えるだろう。
ライトの適性
ライトは下手な選手が守るもの、というイメージを持っている人もいるかも知れない。
これは、一昔前に「ライパチ」という言葉があり、「ライトで8番打者(投手を除いて一番遅い打順)」と揶揄されていた影響が大きいだろう。
だが、現代野球においてそのような考え方は通用しない。例え守備が下手な選手であっても、よほど打撃センスの光る選手で無ければ起用は難しいだろう。
現在の野球においては、イチロー選手がライトを守っていることも影響し、「ライトに置ける守備スキルの重要性」はかなり認知されてきているようだ。
そもそもライトの仕事は外野手の中でも多く、内野手の送球が一塁に送球された場合やけん制球が投げられた場合、その都度カバーに走る必要がある。
また、ランナーは進塁する度にライトから遠ざかっていく。そのため、バッターはランナーを進塁させたい場合にライト方向を狙って打ってくる。
そういった打球が飛んできた場合、肩の弱い選手や送球が不安定な選手では、余分な進塁を招いてしまう可能性が高く、最悪の場合には得点に結びついてしまう。
強肩であること、送球が正確であることは、ライトにおいて必須となるスキルといえるだろう。だからこそ、イチロー選手はライトを任せられているのだ。
まとめ
いかがだっただろうか。
守備に関する適性について、簡単に説明させて頂いたが、これを読んで「やりたいポジションがあるけど、適性が無いから諦めよう」とはしないでほしい。
飽くまでも”守る上でこの適正があれば更に良くなる”というだけであり、努力や練習によって補うことはいくらでも可能である。
そもそもスポーツは楽しんで行うものであり、自分のしたくないことをするより、例え人より多くの努力が必要になったとしても、自分のやりたいことを貫き通すほうが、確実に野球を楽しめることだろう。
ただ、もし「少年野球をこれから始めるが、どこを守ろう」と悩んでいる人は、上記で説明した適性を参考に、これからの野球人生をより良いものにしていってくれれば幸いである。