プロ野球のヘルメットはなぜ片耳なのか?フェイスガードの効果も!

今回は、プロ野球で使用されるヘルメットの耳あてはなぜ片耳のみなのか、高校野球との違いを紹介、解説していこうと思う。

プロ野球とアマチュア野球の違いは様々である。

バットが金属と木製という違いであったり、高校野球ではグローブやスパイクの色に大きな制限があったりする。

そして更に、実はヘルメットにも大きな違いがある。

高校野球の場合、両耳に”耳あて”がついており、安全性が高く保たれているのに対し、プロ野球で使用されるヘルメットのほとんどは片耳しか耳あてが付いていない。

安全性を高める目的で使用されるヘルメットに、なぜこのような違いがあるのだろうか。

さっそく紹介していこう。

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プロ野球のヘルメットはなぜ片耳なのか?

なぜ、同じボールを使っているはずの野球であるはずなのに、アマチュア野球とプロ野球ではヘルメットに違いがあるのか。

その理由は、意外にシンプルなものだった。

耳あては義務化されていなかった

そもそも、一昔前までのプロ野球ではヘルメットに耳あてはついておらず、1984年以降に在籍した選手、および1983年に在籍し耳あて付きヘルメットを着用した選手は耳あて付きヘルメットが義務化された。

1983年に在籍し耳あて付きヘルメットを着用しなかった選手は選択可能というルールがあり、実際に落合博満や平野謙、金森栄治、田村藤夫ら14人の選手は耳あての無いヘルメットを着用し試合に出場していた。

耳あて付きヘルメットが普及した理由として、田淵幸一(当時阪神タイガース)が1970年の広島カープ戦での側頭部への死球により耳から出血したことがきっかけとなり、そこから耳あての付いたヘルメットが次第に普及していった。

耳あて付きヘルメットの現在、なぜプロは片耳だけなのか

現在、高校生以下は、事故防止の為、両耳付きの使用を義務付けている。

石のように硬いボールを扱うのだから、当然だろう。バッティングの際には片側の耳だけをガードしておけばなんとかなるかも知れないが、ランナーとなった場合には四方からボールが飛んでくる可能性もある。

また、高校生の場合にはヘルメットはチーム内の共有財産であるため、右打者、左打者ともに共有できる両耳付きのヘルメットのほうが汎用性が高いというのもあるだろう。

 

さて、しかしプロ野球では未だに片耳のみの耳あてヘルメットを着用して打席に入り、そのままランナーとして出塁している。ボールが頭部に直撃した場合のリスクはかなり高そうだが、なぜ片耳ヘルメットを着用し続けるのか。

 

この理由としては諸説あるが恐らく、「少しでも軽いものにしたい」、「昔からの伝統」、という理由が大きいようだ。

確かに、両耳に耳あてがあるよりも片耳だけのほうが軽量化でき、装着した際に重みなどで感じる違和感も減ることだろう。

また、プロ野球で耳あて付きヘルメットが普及し始めた際には片耳のヘルメットばかりだったこと、MLBの伝統を引き継いでいることが、現在でも名残として残っているのではないだろうか。

もちろん、プロ野球でも両耳の耳あてが付いたヘルメットは着用可能であり、現にスイッチヒッターの選手は左右どちらの打席にも入ることがあるため、両耳の耳あてがついたヘルメットを着用している。

フェイスガードの効果

さて、ここまでは安全面にやや不安があるような気がする片耳ヘルメットについて言及してきたが、次に紹介するのはむしろ安全面をこれまで以上に上げたヘルメット。

写真はヤクルトスワローズ・バレンティン選手だが、ヘルメットに頬まで覆ったプロテクターが付いている。

この他にも、まるでバットマンのようなマスクを着用している選手や、アイスホッケーのようにアゴ全体を覆うようなヘルメットを着用している選手もいる。

なぜ、このようなヘルメットを着用しているのだろうか?

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過去に顔面死球を受けた、または受ける可能性の高い選手が多く着用

過去に顔面死球を受け、まだ怪我が完治していなかったり、トラウマになってしまっている可能性がある選手が、このフェイスガードを着用している。

実際、巨人戦で顔面に死球を受け鼻骨を骨折した阪神・鳥谷選手や、ウエスタン・リーグ開幕戦で顔面死球で骨折したソフトバンク・江川智晃選手はフェイスガードを着用し打席に入っていた。

また、バレンティン選手のように厳しいコースを頻繁に攻められる選手も、顔面死球による怪我のリスクを回避するためにこのようなフェイスガードを着用しているようだ。

しかし、顔面に死球を受け、鼻骨を骨折したはずの阪神・鳥谷選手が次の日の試合にも代打で強行出場したというのは、もはや鉄人としか言いようがない。

フェイスガードは市販されている

”Facial Protection”

ただし、高校野球の規定上使えるかどうかは、その場の審判の判断に委ねられる可能性は高いので注意が必要。

顎や鼻を怪我している選手であれば着用は許可されるかもしれないが、現状で特にプレーに支障が無い場合は許可が下りない可能性は高い。

まとめ

いかがだっただろうか。

プロ野球界においてのヘルメットの歴史は意外と短く、落合選手達の世代までは耳あてのついていないヘルメットを着用していたというのには驚きである。

個人的な意見ではあるが、やはりプロ野球においても両耳のついたヘルメットを義務化したほうが良いのではないか、とも思う。

確かに片耳のみのほうが取り回ししやすく、軽量という意味でもメリットはあるかもしれないが、石のような硬さを持つボールを使って常にプレーしている野球において、少しでも安全面を考慮したほうが、怪我をした際のリスクも減るのではないだろうか。

イチローや大谷のような大選手が両耳ヘルメットを着用すれば、みるみるうちに普及するかもしれない。

ともあれ、今後プロ野球や高校野球を観る際には、このヘルメットの部分に着目してみても面白いだろう。

 

ちなみに今の野球界では、つや消し加工のされたヘルメットが流行しており、高校野球においてもつや消し加工の施されたヘルメットを着用しているチームも多いという点においても、注目してみてほしい。

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