この記事では、甲子園常連校/野球強豪校の食事量やメニューをはじめとして、食事制限はアリなのか…といった内容についてお伝えしていきたいと思う。
甲子園の常連校や強豪校といえば、厳しい練習メニューをひたすらこなしているというイメージを持つ人もいるだろう。
もちろん、彼らが日々行っているトレーニングは、監督やトレーナーが趣向を凝らし、さまざまな手法を使いしごき抜く地獄のような練習であり、その努力こそが甲子園という舞台で戦う自信ともなるのだろう。
だがしかし、彼らが甲子園で戦い抜くために費やすトレーニングは、なにも身体を動かし続けるトレーニングだけではない。
彼らにとって、「食事」も立派なトレーニングなのである。
高校生とは、人生の中で最もエネルギーを費やす時期でもある。普通に過ごすだけでも、成長真っ只中の身体はエネルギーを消費していく。
それに加えて身体が悲鳴を上げるほどのトレーニングを続ければ、一般的な食事を取るだけでは到底エネルギー不足であり、みるみるうちに痩せ細ってしまう。
身体が細ければその分エネルギーを蓄える量も減り、いくら筋肉を鍛え上げようとしても無駄になってしまうし、まして炎天下の中で戦い抜くことは不可能である。
そういった理由で、甲子園でも戦い抜ける身体を作り上げるために、名門校や強豪校は食事さえも「トレーニング」として捉え、厳しいトレーニングを行っても身体に十分に栄養が行き渡るように通常では考えられないような量の食事をしているのだ。
たかが食事と侮るなかれ、「食トレが最もキツかった」という選手も多々おり、中には練習よりも食トレの方の厳しさに耐え切れず、野球部を去ってしまう者もいるのだ。
果たして、食べ盛りの高校生でさえ逃げ出したくなるような食事とは、どれほどのものなのか。
また、甲子園で戦い抜ける身体を作り上げるために行っている食トレとはどのようなメニューなのか。
甲子園常連校/野球強豪校の食事量やメニュー
さて、それでは早速名門・強豪と呼ばれる高校の食事メニューをみていこう。
埼玉-浦和学院
浦和学院では、5月~6月という夏の大会目前の時期には「1日6食トレーニング」が課せられる。
朝食、休み時間、昼食、3時、夕食、夜食という、ほぼ一日食べて過ごすようなメニューだ。
1日で計約2500~4000キロカロリーを摂取し、身体を大きくする努力をしている。
もちろん食べるのは菓子パンなどではない。5月~6月以外でも日常的に「朝は300グラムの白飯を2杯、晩は400グラムを2杯」という取り決めがあり、残すことは厳禁。白飯のグラム数は、監督の前でしっかりと秤に置いて計測してから食べるという徹底振りである。
メニューは、豚肉の生姜焼きやオニオンリングのフライ、ポテトサラダ、きんぴらに味噌汁とフルーツなど、おかずの量も普通の食事に比べかなり多い。
しかも、「ただ量を食べさせる」ということでもなく、「練習が厳しいので、食事の時だけは楽しめるようなメニューにしてほしい」という監督の意向から、料亭に勤務経験のある調理師を呼び、日々美味しく楽しく食べられる食事メニューを提供しているのだ。
食トレによって、3年生の体重は入学時に比べ10キロ以上も増える選手も多くいるそうだ。
これにより投手は急速も上がり、打者は打球の飛距離が伸びるなど、効果は絶大。
やはり名門。食事にも余念が無い。
東東京-関東第一
グラウンドに隣接している寮で、選手達は食事を摂る。練習後にすぐさま食事できる体制が整えられているのだ。
これによって、エネルギー不足の状態で練習を行う選手はほとんどいないのだという。
シダックスフードサービス株式会社より派遣されているスタッフが、食事を手がけている。専門の栄養士にメニューを提出し、時には選手のリクエストに応えながら試行錯誤を繰り返し食事を作っている。
監督の要望でもあるバランスの良い食事を意識し、夕食では必ず肉料理と魚料理の両方、根菜、葉物の野菜の付け合わせ、フルーツも付く。おかずだけでもかなりの量となる。
これに加えて、朝にはどんぶり飯を2杯、夜は3杯のノルマが課せられる。もちろん残すのは厳禁。どんなに時間が掛かろうと、最後まで食べ抜かなければ席を立つことは許されない。
しかし、なにも厳しさだけでは無い。スタッフは、1年生の入学時に選手の誕生日を把握し、選手の誕生日にはリクエストに応え、食事を作るのだという。
パンケーキを15枚重ね、生クリームとたくさんのフルーツで飾りつけし、ローソクを立ててお祝いをするのだそうだ。
普通の高校生であれば家族にお祝いされる大切な日を寮で過ごす選手達を思いやり、少しでも楽しく寮生活を送れるよう、最大限の配慮を欠かさない。
これによりチームにも連帯感が生まれ、チームワークに大きく関わってくるのだろう。
神奈川-平塚学園
こちらも相当な量の食事量を誇っていた。まず、一日に課せられる白飯のノルマは、なんと「2.5キロ」。
朝700グラム、昼400グラム、練習の合間におにぎりを400グラム。そして夕食600グラムに夜食400グラム。
ホテルでも板前経験もある調理長が、昼にはお弁当と届けるなど、一日全ての食事を管理している。
豚ロースの焼き肉やホッケの塩焼き。コールスローサラダとウズラの卵の串フライなど、ご飯が進むように甘辛の味付けにしているのが、調理長のこだわり。
白飯を流し込みやすいように、汁物を多くし、身体に吸収しやすいように配慮もなされているようだ。
さらに、平塚学園の驚くポイントは他にもあった。
それは夜食のタイミング。就寝30分前にどんぶり飯をかきこむのだ。
400グラムの白飯など、成人男性からすれば恐怖の対象でしか無いが、育ち盛りの高校生には大切な成長の種。
夕食後、自主練習によって失われたエネルギーを補うため、ふりかけやお茶漬けなどで各々がアレンジし、胃袋に納めていく。
逆にいえば、選手達が夕食後に行う自主トレは、それほどまでにエネルギーを消費するほど、やり込んでいるのである。
ひとりひとりの意識の高さと、それを支えるスタッフ陣の思いが一体となり、強豪と呼ばれるチームを作っているのである。
[ad#ad]食事制限はアリ?
さて、それでは逆に、制限するというのはアリなのだろうか?
プロ野球選手のキャンプ等で、食事メニューが公開されることがある。
柳田(ソフトバンク)は、たんぱく質を効率よく取るため、鶏胸肉、卵白のみのゆで卵を中心に高タンパク、低脂肪、低糖質の特別食を用意し、ストイックに食事を行っていた。
しかし、これは身体が出来上がっているプロの話である。
まだ成長途上にある高校生が身体を作り上げるには、とにかくひたすらに食べることこそが重要なのである。
まずは選手として身体を作り上げるためにも、好き嫌いをせず、なんでも食べられるようにすること。
お菓子を食べるのなら変わりにおにぎりを食べること。
これを徹底し、「身体を作るための身体」にしていくことが必要なのだ。
よって、高校生がプロの食事を真似て「食事制限」をするのは、”ナシ”という結論になる。
まとめ
いかがだっただろうか。
これほどの食事を前に、時に泣きながら、戻しそうになりながらも、必死に食べている選手もいるのだとか。
もちろん、寮などに住まわず、自宅から通っている学生も多くいるだろう。
そんな選手達は、とにかく白飯をしっかり食べることを徹底しよう。それでもたんぱく質が足りないときは、プロテインを摂取し、補うようにしよう。
コンビニ弁当だけではロクな栄養量にはならない。
なかなか身体が大きくならないと悩む選手達は、まずは食事を見直してみるのはいかがだろうか。