自分達より明らかに各上の野球強豪校に勝つ方法やコツってあるの?
例えば高校野球の地方予選。
野球部の人数が20人にも満たないようなチームと、名門と呼ばれ全国各地から人を引っ張り集めているような強豪チームが対戦するというのは、ザラにある話である。
試合結果は、やはりというべきか、強豪チームが5回コールドで試合終了、というのは私自身よく見てきた光景ではある。
もちろん、実力差もあれば、試合の経験値も違うため、このような結果になってしまうのはいたしかたないのかも知れない。
さて、それでは、もし強豪に当たってしまったらやはり諦めるしか無いのだろうか。
たとえ弱小と呼ばれようと、甲子園を目指す気持ちは同じはず。
今回は、実際に私が目にした体験も基に、”ジャイアントキリング”を起こす方法を紹介していこうと思う。
自分達より明らかに各上の野球強豪校に勝つ方法やコツ
さて、それでは、自分達より格上の高校にあたった場合、どうやって勝てばいいのか?
相手ピッチャーは140キロを越えるような投手、バッターは高校通算○○本と噂のスラッガー・・・。
勝ち目は無いように思えるかもしれない。
だが、野球に絶対は無い。やれることをやり抜けば、勝てる可能性は十分にあるはずだ。
それでは、少しでも勝てる可能性を上げるための行動を紹介しよう。
試合はなるべく先攻を取る
裏を選択した場合、自分達がバットを一度も握ってないうちに、初回に点を取られる可能性がある。
こうなってしまうと、点を取り返すことに必死になり、焦りが生まれ、攻撃が荒くなってしまうのだ。
そうならない為にも、まずは先攻で自由に攻撃をする。それでもしヒットが生まれれば、チームにも勢いが生まれる。
攻撃の勢いはそのまま守備にも反映されるので、思わぬ好プレーも出るようになるかもしれない。
よほどの考えが無ければ、先攻を取るべきだろう。
相手ピッチャーが2番手、3番手ならばチャンス
格下相手にエースを温存するのは強豪チームのよく取る手段だ。
しかし、これはチャンスと捉えるべきである。
2番手ということは、まずほとんどはエースよりは実力は劣る。(一概には言えないが・・・)
この2番手が投げているうちに、なにがなんでも1点でもいいので、もぎ取ろう。
すると相手ベンチは焦ってくる。エースがブルペンに走り、肩を作り始めようとする。
「まさか格下相手に失点?」という心理は、間違いなく相手チームに生まれているはずなのだ。
これは投げている2番手ピッチャーも同様。「これ以上打たれてはいけない」という心理になり、冷静さを徐々に欠き始める。
無理にバットを振らない=球数を投げさせる
例え良いピッチャーといえど、精密機械のようなコントロールを持っている選手はそう多くは無い。
その日の調子もあるし、コントロールがまとまらない時もあるだろう。
もし、相手ピッチャーに少しでもボール球が多ければ、無理にバットを振りにいくべきではない。
ピッチャーに取って、フォアボールというものは想像以上に精神にクる。
勝手にフォアボールを出して、勝手に自滅してくれれば、こちらが何もせずとも点が入る可能性も十分にあるのだ。
そしてコントロールばかりを意識し、ピッチャーのボールに力が無くなってきたとき、その瞬間に一発かましてやればいい。
もちろん見逃し三振したとしても構わない。考えなしに無理に振った三振よりも、しっかり意識を持って見逃し三振をしたほうが、よほど意味はある。
失点するのは当たり前、2点以内は許容範囲
格上相手に完封は、さすがに出来すぎた話である。
もちろん打たれもするだろうし、失点もするだろう。
大抵、格下チームが負けるパターンは1点を失ってからズルズルと失点していくパターン。これに陥らないようにするためにも、試合前に「2点以内は許容範囲」という心の余裕を持とう。
ピッチャーの気持ちも切り替えやすいし、守備も固くなりにくい。
2点取られても、3点取れば勝てるのだ。
大切なのは、例え強豪だろうと「飲まれない」こと。
強いチームには強いだけの理由があり、強いなりの野球をしてくる。
ならば、弱いチームは弱いなりに、できることをやり、出来ないことを無理にやらない。
そうしていけば、おのずと結果はついてくるのではないだろうか。
[ad#ad]自分達より明らかに各上の野球強豪校に勝った高校
私の地元の県立高校の話である。
これまで大して強くもなく、かといって弱小ともいえないような県立高校があった。
県立高校なので、もちろん他県から有望な選手を集めてくるわけでもなく、相手が強豪だと知れば「すげー」と感想を述べるだけの、ありふれたチームだった。
弱小と対戦すれば勝ったり負けたり。強豪とあたればコールドは当たり前、そんなチームだった。
しかし、監督が変わり、改革が始まる。
まず改革したのはその”意識”。それも、野球に関わることだけではなく、人として模範になるべし、といった意識改革である。
「常に元気な挨拶」「文武両道」「服装をきちんと正す」。
学校で人とすれ違えば挨拶をし、勉強に積極的に励み、ユニフォームはもちろん、制服を着崩さない。学校の清掃を部内で取り決め、毎朝の清掃を怠らないetc・・・。
一見、野球とは関係無いと思う人も多くいるだろう。しかし事実、この高校は、この行動で大きく変わったのである。
まず、野球部が学校の模範となるような行動を起こすとどう変わるか?
学校が、学校全体を上げて応援してくれるようになるのだ。
打算的な話になるが、やはり野球部に求められるのは「模範的な学生」。
年配の教頭先生や校長先生に、その模範的な姿勢が認められれば、率先して応援してくれるようになる。
大人が積極的に応援してくれるようになれば、応援用バスの手配や選手の送迎、差し入れといったものが手厚くなる。
応援されるようになれば、選手は「観られている」という意識が芽生える。緊張にもつながるかも知れないが、無観客で迎える試合と、スタンドから多くの掛け声が届けられる試合では、やはりやる気は変わってくる。
これにより選手のモチベーションは上がり、これまでより大幅に好成績を残していくようになる。
好成績を収められるようになれば、選手には自信がついてくる。「勝てるチームだ」「もしかしたら名門にあたっても勝てるかもしれない」といった具合である。
その自信を持ち、強豪にあたるようなことになれば、行動は今までとは変わってくる。
これまでは「すげー」としか見ていなかった、相手チームのシートノックを食い入るように見つめ、どこかに穴は無いか、捕手や外野手の肩はどれくらいの強さか・・・。そういった視点を持つようになる。
相手投手がブルペンで投球練習を始めれば、そのスピードに合わせてベンチの前で素振りをするようになる。
つまり、何が言いたいかといえば「自分が活躍できるイメージを持つ」ようになるのだ。
打てる自分、ファインプレーをする自分、三振を取れる自分・・・。こういったイメージは、勝つ自信が無ければ決して持つことはできないのだ。
さて、ここまで精神論の話になってしまったが、それでは技術的なことは何もしてないかといえば、決してそうではない。
そのチームは、「背伸びをしない」という方針を掲げ、練習に励んでいった。
できることをやり、出来ないことはやらない。これは逃げてるようにも思えるかもしれないが、そうではない。
適材適所を生かし、自分にできることを理解し、チームが勝つことを最優先にするからこそ出来ることである。
強豪ならばヒットだけで点数が取れるだろう。
しかし、弱いチームはそうもいかない。たった一人出たランナーを、スリーアウト以内にどうやって点数に近づけるかを、必死に追い求めるのである。
野球とは面白いスポーツで、ヒットが出なくても点数を取ることが可能なのだ。
だからこそ、たとえ4番を打つような選手であっても徹底的にバント練習を繰り返し、絶対にランナーを送る手段を作った。
守備であれば、無理にゲッツーを狙わないようにした。しっかり1アウトを確実に、堅実に取れる方法を選択した。
ゲッツーを狙って失敗すれば、2アウトどころか1アウトさえ取れないからだ。
たとえ盗塁されたとしても、捕手の捕球体制が少しでも悪いときには2塁に投げさせないようにした。
もし送球がそれれば、ランナーは3塁まで達してしまい、失点のリスクは大幅に上がるからだ。
強豪には強豪の野球がある。自分達は自分達ができる範囲でできる野球をやる。
この方針を固めてから、エラーは大幅に減った。エラーが減れば、失点も少なくなる。失点が少なければ、最少得点でも勝つことはできる。
この意識を徹底した結果、これまで予選2回戦まで進めば良い方だったはずのこの高校は、地方予選決勝で、名門と甲子園を奪い合うまでに成長したのである。
長くなってしまったが、大切なのはチームが持つ意識。
チームの意識がバラバラなのに、甲子園に行きたいという思いだけが一致したところで、届くような舞台ではない。
強くなりたいのなら、まずはチームの向く方向をひとつに統一すること。
これが、ジャイアントキリングを起こす、最大の要因である。