【野球/ピッチャー】変化球の投げ方&握り方や種類も解説!

今回は、野球におけるピッチャーの変化球の投げ方や握り方、そして種類を解説していこう。

ピッチャーならば、誰しもが変化球を投げたいと思うはずだ。

高校野球やプロ野球を観ていれば、多くの変化球を駆使し打者を手玉に取る姿を目にしたことがある人は多いのではないだろうか。

直球勝負も美しいが、変化球を織り交ぜて、打者との駆け引きを楽しむのも、ピッチャーの醍醐味といえよう。

変化球を覚えていれば三振も格段にとりやすくなるし、投球のバリエーションも広がり、キャッチャーも配球の楽しさを感じることができる。

 

そもそも変化球とは、ボールに対して何らかの回転を掛け、軌道を変化させるというもの。

その理屈でいえば、ストレートにもバックスピンという回転を掛けることで重力に対して抵抗を与えているため、ストレートも変化球の一つといえる。

スライダーやフォーク、ナックルなども、ボールに対して斜めの回転を与えたり、回転をあえて少なくしたり、回転を極力させないことにより空気抵抗を与えることで、あのような変化が起きているのだ。

まずはこの理屈を覚えていてほしい。「なぜ曲がるのか」を理解しているのと、「理屈は分からないけどとりあえずこう握っておけば曲がるはずだ」と思っている人とでは、習得度は格段に違うからだ。

さて、それではこの理屈を理解した上で、現在の野球界で人気のある変化球や定番の変化球の種類から、投げ方や握り方までを紹介していこう。

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変化球の種類

一口に変化球と言っても、その数は膨大な量になる。投手はそれぞれ、自分が投げやすいもの、自分に必要なものを探し、自分のレパートリーに加えているのだ。

ストレート系

フォーシーム-一般的なストレートと呼ばれるボール。投げたボールが1回転中に均等に4つの縫い目(シーム)を見せる

ツーシーム-フォーシームとは縫い目の向きが変わっており、1回転中に2回しか縫い目をみせない。そのため空気抵抗が生まれ、小さく変化を起こす。

ワンシーム-WBCで巨人の菅野投手が投げたことで話題となったボール。1回転中に縫い目が1つだけ見え続けているようなボールとなる。ツーシームよりも変化量が大きい。

スライダー系

・スライダー-打者の手元で鋭く変化するボール。右投手が右打者に投げた場合、打者から逃げていくような変化となる。

・縦スライダー-通常のスライダーが横方向に曲がるのに対し、同じスピード感を持ちながら縦方向に落ちるボール。

・カットボール-近年流行している変化球。打者の手元で小さくスライダーのような変化を起こす。スピードを出しやすく、ストレートとほぼ同じ球速で投げられるため、打者を詰まらせたり引っ掛けさせるのに有効なボール。

カーブ系

・カーブ-桑田真澄選手が得意としていたボール。スライダーと同じ変化方向だが、スライダーよりも大きな弧を描いて落ちていき、スピードも抑えられるため、緩急をつけることにも有効。

・スローカーブ-通常のカーブに更に緩急をつけたボール。大きな弧を描き、滑らかにボールが落ちていく。

・ドロップカーブ-ソフトバンク・武田翔太投手が得意とするボール。縦方向に鋭く変化する。一見すると縦スライダーにも近いが、スライダーよりも大きな弧を描き、打者の手元でブレーキが掛かる

・ナックルカーブ-ソフトバンク・五十嵐亮太投手の得意とするボール。ナックルのような変化が掛かるわけではなく、指から抜けやすくすることで変化量を大きくするというもの。コントロールが難しく、扱いが難しい。

フォーク系

・フォーク-打者の手元で下に落ちるボール。空振りを奪うのに適したボールであり、決め球に使うプロも多い。

・SFF(スプリット)―スプリット・フィンガー・ファストボールの略。ヤンキース・田中将大選手も得意としている。フォークよりも変化量は落ちるがスピードが出やすく、バットに引っ掛けさせることでゴロを奪うことができる

シュート・シンカー系

・シュート-スライダーとは逆方向に曲がるボール。右投手が右打者に投げた場合、打者の手元方向に変化するため、詰まらせることができる。

・シンカー(スクリュー)-こちらもスライダーとは逆方向に曲がるボール。右投手が左打者に投げた場合、打者から逃げていくようなボールとなり、空振りが奪いやすい。サイドスロー投手が得意とすることが多い。また、左投手が投げるシンカーを”スクリュー”と呼ぶことが多い。

チェンジアップ系

・チェンジアップ-いわゆるスローボールだが、ストレートと同じ腕の振りで投げることにより打者のタイミングを外すことができる。肩への負担が少なく、初心者が最初に覚えるべきボールとも言われる。投げ方は投手によって様々で、鷲掴みで握る人や指でOKマークを作って投げる(OKボール)人もいる。

・パーム-チェンジアップに落ちる変化を加えたボール。フォークのスピードを落としたような変化をする。近年はこのボールを投げる人はめっきり減っており、なかば伝説のボールのような存在となっている。

ナックル

ナックル-プロ野球界にも、このナックルを操る選手はほとんどいない。ボールの回転を極限まで抑えることで空気抵抗を与え、ゆらゆらと揺れながら落ちていく。その日の風向きなどにも変化が左右され、投げた本人でさえもどのような変化を起こすのか分からないという、魔球のようなボールである。

 

さて、ここまでは様々な変化球の種類を紹介させていただいた。

次に、実際の投げ方、握り方を紹介していこう。

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変化球の投げ方&握り方

ストレート系

フォーシーム・・・4本の指でボールをしっかりと支える。投球時には、人差し指と中指で強くバックスピンを掛ける意識を持とう。バックスピンを掛ければ掛けるほど、初速と終速の差が少なく、いわゆる”ノビのあるボール”になる。

MLBで活躍する上原浩治投手が、130km台の直球でメジャーリーガーから空振りを奪える理由は、このバックスピンの回転数が他のピッチャーに比べ格段に多いからだ。

 

ツーシーム・・・投げ方としては、ストレートと同様で、バックスピンを意識しつつ投げるだけだ。しかし、回転しながら進む際に現れる縫い目が変わり、空気抵抗が加わることでバックスピンによる揚力が減り、やや沈むボールとなる。

 

ワンシーム・・・このボールも、握りは変えた状態でストレートと同じように投げ込む。しかし回転の仕方が変わり、常に一つの縫い目が見える状態で進んでいく結果、シンカー系の沈み込む変化となる。まずは握りを確認し投げてみて、変化の仕方を見つつ工夫していこう。

 

スライダー系

スライダー・・・人差し指と中指をボールの外側にズラし、指は揃える。投げる意識としては、ストレートと同様に素直に腕を振る。

リリースする瞬間に中指で少し押し出してやる感覚を持つと、キレイなスライダー回転が掛かり、打者の手元で鋭く横方向に曲がる。(写真はやや外側を握りすぎているため、もう少しボールの内側で握る方がコントロールがつきやすいかもしれない)

 

縦スライダー・・・ダーツを投げるような感覚で、肘をストンと落とすようなイメージでリリースする。リリースの瞬間に、少しだけ中指でボールを”切る”ような意識を持つと、より鋭さを増していく。

 

カットボール・・・ストレートの指を揃え、やや外側にズラす。リリースはストレートと同じ感覚で投げよう。

手首を外側に向けると、スピードは落ちるが変化量は大きくなる。場面によって使い分けられるとなお良い。

 

カーブ系

カーブ(スローカーブ)・・・親指と中指はしっかりと縫い目に掛け、人差し指は添える。親指と中指で弾くようなイメージで回転を掛けるのがコツだ。リリースの瞬間に、親指で押し出しつつ中指を思い切り手前側に引く。

腕の振りはストレートと同じようにして、投げる瞬間に指先で変化を加えるようにしよう。ボールがキレイな放物線を描けば成功といえる。

スローカーブの場合も握りは同じだが、カーブよりもスピードを抑える必要があるため、親指を掛けないようにしたりして工夫しよう。

 

ナックルカーブ・・・人差し指をナックルのように折り曲げ、カーブと同じ要領でリリースする。このとき、ナックルのように折り曲げた人差し指で弾き出す必要は無い。大切なのは”抜く”という感覚である。

 

フォーク系

フォーク・・・フォークは縫い目の部分よりやや外側を挟み込むように握る。あまり深く挟み過ぎると、リリース時に引っ掛かるため注意だ。

指が短い人や挟み込むのが難しい人は、上記で説明した縦スライダーの握り方(親指と人差し指・中指)で縫い目を避けて挟み込む方法もある。

手首を使わず、腕の振りのみでリリースする。

握り方を変えると、落ち方や落ちる方向も変わるので、試してみてほしい。

 

SFF(スプリット)・・・SFFの場合は縫い目に指を掛け、フォークほど挟み込む必要は無い。こちらもフォーク同様、手首を使わず腕の振りでリリースする。

 

シュート・シンカー系

シュート・・・人差し指を縫い目に沿わせ、中指は添えるように握る。シュートは肘の故障する可能性が高いため、肘を痛めないような投げ方を覚える必要がある。

肘を痛めない投げ方とは、「身体の開きをあえて早くする」こと。ストレートを投げる際に身体の開きが早いと、ボールはシュート回転する。これを意図的に発生させるのだ。握り方も相まって、肘に負担が掛かることなく打者の胸元に抉り込むようなシュートが投げられるようになるだろう。

間違っても腕の力だけで捻りを加えないこと。これが最も肘への負担を増やす投げ方である。

 

シンカー・・・人差し指・中指と薬指・小指で挟み込むように握る。親指で下側をしっかりと支える。

リリース時は、シュートと同じように身体の開きを早める。薬指を軸にして、人差し指・中指でボールを投げるようにリリースすると、沈みこむようなシンカーとなる。感覚としては”抜く”イメージ。

 

チェンジアップ系

チェンジアップ・・・握り方はいろいろあるが、私の経験として「OKボール」と呼ばれる握りが一番球速を抑えられたため、こちらを紹介する。

指でOKサインを作り、そこにボールをはめ込むようなイメージで握る。リリースはストレートと同じ要領で良い。

投げる際、腕の振りを遅くしてはならない。ストレートと同じスピード感で腕を振ることで、初めてチェンジアップの効果が発揮されるからだ。

この握りで全力投球をしても、球速は自然と抑えられるため、怖がらずに投げ込んでみよう。

 

パーム・・・握り方は手のひらで包み込むようにして、指先はすべて浮かせる。第二関節で支えるようなイメージだ。

リリースは押し出すようにして投げるのだが、最初は非常にコントロールが難しい。コツを掴むまでには時間を要するだろう。

 

ナックル

ナックル・・・このボールは、”いかに回転を与えないか”が鍵となるボールである。

握り方としては、人差し指・中指・薬指を立て、爪を引っ掛ける。ボールの下側は親指と小指で支える。

リリースする際は、爪でボールを弾き出すイメージ。球速はまったく出ないため、いかに空気抵抗を与えるかに重きを置いて投げるようにしよう。

しかし、このボールは他のどの変化球よりも異質であり、操るのには相当な練習が必要である。また、どのように曲がるか自分にも分からないため、キャッチャー側もそれなりのキャッチング技術が必要となる。

 

まとめ

いかがだっただろうか。

今回は、変化球の種類とその握り方、投げ方を紹介させていただいた。

しかし、変化球は個人の感覚によって変わるため、握り方は参考程度に、自分に合った投げ方を模索してほしい。

肘の使い方や指先の感覚、投球フォームによっても変化量や変化するタイミングも変わるため、自分なりの変化球の投げ方を見つけ出せれば、それは間違いなく自分の武器となるだろう。

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