今回は、夏の甲子園2017注目カードや見どころを紹介していく。
開幕目前に迫った夏の甲子園。
各地方で熱闘を制してきた猛者達が、続々と大阪へと集結し始めている。今年の予選参加チームは3839チームであり、そのなかから選ばれし49チームが、聖地・甲子園で優勝を争っていく。
高校野球ファンの皆様は、開幕を今か今かと待ち望んでいることだろう。
昨年優勝校の作新学院、準優勝の北海、春のセンバツ覇者・大阪桐蔭など、今年も注目のチームが勢ぞろい。
初戦からアツい対戦カードも決定しており、その期待感は増すばかりである。
しかし、早稲田実業が破れ、清宮という怪物を甲子園で観ることは叶わなかった。これにより、今年の甲子園で注目すべき選手を未だに掴めずにいる人もいるだろう。
今回はそんな方々のために、私が独断と偏見で選ばせていただいた注目カード&注目選手を、この場をお借りして紹介していこうと思う。
これを参考に、今年の甲子園の見どころを探っていただけたら幸いである。
夏の甲子園2017~注目選手~
まずは、今年の注目すべき選手達を紹介していこう。
西巻 賢二(仙台育英)-遊撃手
168cmと小柄な体格ながら、野球センスは今大会でも1、2位を争うほどの選手である。
グラブ捌きや打球への入り方は、仙台育英の先輩でもある平沢大河(現・千葉ロッテ)を彷彿とさせてくれ、その守備力は今すぐにプロに入っても通用するとスカウトから太鼓判を押されるほど。俊足巧打を体現したような選手である。
増田 珠(横浜)―中堅手
神奈川予選では、大会新記録となる4試合連続本塁打を放った新怪物候補が、横浜高校の増田である。
1大会で5発の本塁打を放っており、この記録は2008年の東海大相模・大田泰示(現・日本ハム)に並ぶ最多記録。
スカウト陣も、「巨人・長野のような選手になる」と絶賛だった。
ボール球をほとんど振らない優れた選球眼、広角に打てるバッティングセンス、そして確実に芯で捉えるミート力は、今大会でも要注目である。
根尾 昴(大阪桐蔭)-右翼手・投手
高校生ながら、既にプロ級のスイングを魅せてくれるのが、この根尾である。中学時代にはアルペンスキー大回転の中学生部門日本一という記録を持つ。
名門・大阪桐蔭という環境で1年夏からベンチ入りを果たし、既にその潜在能力は発揮していた。
球を潰しかねないほどのフルスイングを持ち味としており、その姿は柳田(現・ソフトバンク)を彷彿とさせてくれるような魅力がある。
また、肩の強さも魅力のひとつ。基本は右翼手として出場するが、その肩の強さから時折マウンドに登る、二刀流選手である。
投げては146キロをマークし、既にスカウトがプロでの起用法を判断しかねるほどの逸材である。
今年の夏は腰を痛めたという理由もありベンチスタートが多かったが、甲子園で躍動する姿に期待したい。
山下 輝(木更津総合)-投手
187センチ、87キロと恵まれた体格から放たれるストレートの最速はなんと149キロ。左腕でこれだけの球速は、即プロ入りでも文句の無いポテンシャルである。
今年の夏の予選では42イニングを投げ47奪三振5失点、防御率1.07と、素晴らしい成績を残している。
準決勝では東海大望洋のプロ注目投手・金久保に投げ勝っており、甲子園でも充分に戦い抜ける自信も身につけた。
球種はストレートの他にスライダー、カーブ、チェンジアップ、ツーシームと多彩。初戦から奪三振ショーにも期待できる好投手である。
小松 章浩(おかやま山陽)-投手
見事甲子園を初出場を果たしたおかやま山陽、その立役者がエース・小松だ。
181センチ、77キロの右腕で、最速は146キロをマーク。実績が少ない分、スカウトからの注目はあまり無いが、甲子園でブレイクする可能性は充分に秘めている。
手足の長さを生かしたしなりの効いた腕の振り、そして上からハンマーのように投げ下ろして放たれる角度のついた直球には、甲子園に出場する猛者達も差し込まれることだろう。
球種はスライダー、カーブ、フォークと、オーソドックスな分効き目のある変化球を操る。
課題はコントロール。甲子園という舞台では、少しでも甘いボールが入ればすかさず痛打されてしまうだろう。いかに集中力を保ち、ボールをコントロールできるかが勝負である。
久保田 蒼布(藤枝明誠)-投手
こちらも初出場を決めた藤枝明誠のエース・久保田。球速は130キロ前後だが、球の出処が見づらい変則的なフォームを持ち味とし、U-18日本代表候補にも選出されている。
地方予選の段階ではほぼノーマークだったようだが、だからこそ甲子園でもダークホース的に勝ち上がってくれることを期待している。
予選でもチェンジアップ、スライダーを丁寧に低めに集めることで、凡打の山を築いている。
個人的に変則ピッチャーが好きという理由もあり、注目選手に選出させていただいた。
夏の甲子園2017~1回戦の注目カード~
さて、それでは次に、今大会要注目の対戦カードを紹介していこう。
もちろん全試合ともアツい試合が予想されるが、なかでも今大会は初戦からまるで決勝のような好カードがズラリと並んでいる。
作新学院-盛岡大附(2日目第1試合)
夏連覇を目指す作新学院も、初戦から大きな壁として盛岡大附が立ちはだかる。
盛岡大附は高校通算60HRを誇る植田 拓を中心に、スラッガーが揃っている。岩手大会ではチーム通算で10本もの本塁打を放ち、チーム打率も.395と超攻撃的野球。打撃戦に持ち込めば、どう転ぶか分からない。
対して、昨夏覇者の作新学院は、昨夏優勝メンバーでもある鈴木 萌斗が中心となっている。鈴木は栃木予選で8盗塁と、俊足を生かし機動力で相手を翻弄。
投げては大関 秀太郎が急成長。秋までは120キロ前後しか出ない投手だったが、一冬を越えて球速は平均135キロ前後、そして125キロ前後のスライダー、カウントを稼げるカーブ、緩急をつけるチェンジアップを有効に使い、相手打線を抑え込む。完投もできる豊富なスタミナにも注目したい。
盛岡大附の爆発力、作新学院の機動力。チャレンジャーの立場である盛岡大附のほうが、気持ち的にはリードしているだろう。
しかし連覇を狙う作新学院も準備は万全。乱打戦になることも予想されるが、果たして軍配はどちらに上がるか。
広陵-中京大中京(4日目第1試合)
まさかの初戦から名門対決が実現した。どちらも甲子園経験豊富な高校であるが故、このどちらかが初戦で敗退してしまうというのも、なんだか惜しいというような気もする。
広陵はプロ注目、そしてU-18代表候補にも選出されているエース・平元 銀次郎と中村 奨成のバッテリーは要注目。特に捕手・中村は二塁への送球が1.74秒の”猛肩”、そしてパワー溢れるバッティング、さらに俊足と、三拍子揃った選手だ。
対する中京大中京は高校通算本塁打56本の鵜飼 航丞を中心に、打線の切れ目が無く今大会屈指の爆発力も誇っている。投げては磯村 峻平、伊藤 稜ともに140キロ超えの投手が並び、守備も磐石の態勢。
予想としては、恐らくどちらも一歩も譲らぬ打ち合いの展開になるのではないだろうか。
横浜 - 秀岳館(4日目第2試合)
最初からクライマックスともいえるほどの好カードである。この組み合わせには、高校野球ファンもどよめいたことだろう。
まるで決勝で見るような試合が、まさかの大会4日目、1回戦から観られるのだ。
秀岳館は甲子園を3度経験している川端、田浦のWエースを擁し、横浜の重量打線をいかに抑えるかが勝負。
逆に横浜は、プロ注目バッターである増田を中心に、対するWエースをどれだけ打ち崩せるか。
私の予想としては、恐らく両者とも大量得点は望めないだろう。ロースコアで試合が展開していくと予想している。
1点の重みが感じられる、緊迫した試合展開になるのではないだろうか。
夏の甲子園2017~2回戦の注目カード~
盛岡大付属-松商学園(8日目第2試合)
1回戦で、前年度優勝校である作新学院を破った盛岡大付属。
なかでもエース・平松は、初回こそコントロールに苦しんだものの、徐々に自分らしいピッチングを取り戻し、140キロを超えるストレートで追い込み、切れ味鋭いスライダーを武器に作新学院のバッターを手玉に取った。攻撃では、少ないチャンスを最大限に生かし、5回に3点をもぎ取り勝ち越し。注目選手・植田も2安打の活躍を魅せた。
対する松商学園は、1回戦で茨城・土浦日大と対戦。個人的な予想ではチーム力は互角と踏んでいたが、松商学園の打線が見事に繋がり21安打12得点の猛攻を見せ、土浦日大を突き放した。また、盗塁も5つ奪っており、機動力を生かした攻撃で、土浦日大の守備をかき回した。
2回戦で注目したいのは、まず盛岡大付属エース・平松のピッチング。1回戦では猛打を魅せた松商学園でも、ストレートとスライダーを巧みに操る平松相手ではそうそう得点は望めないだろう。
だが、盛岡大付属も、松商学園が1回戦で魅せた猛打は最大限の警戒をしているだろう。本塁打は0ながら、クリーンナップだけで9本のヒット。ピッチャーからすると、本塁打よりも繋がるヒットの方がダメージは大きい。また、機動力を生かした揺さぶりも、好投手に効果的な作戦である。一度その打線に捕まってしまえば、たとえ平松といえど、なかなか抜け出すことはできないだろう。
猛打の松商学園、守備でリズムを作り出す盛岡大付属。初戦では対照的な攻撃を魅せた両チームが、2回戦でどのような試合展開を魅せてくれるのかに、是非注目したい。
聖光学院-聖心ウルスラ(8日目第4試合)
聖光学院のエース・斎藤は、今大会完封勝利一番乗りの好投。ストレートと変わらないフォームでスライダー、チェンジアップを効果的に使い、おかやま山陽相手に12奪三振。打線は序盤からコツコツと得点を重ねていく聖光学院らしいスタイルで13安打で6得点と、丁寧な試合運びを魅せてくれた。
対する聖心ウルスラは、初戦で早稲田佐賀相手に先発全員安打。投手・戸郷を除いて、1安打ずつという攻撃で、4回に4得点の固め打ち。こちらも本塁打は無いものの、コツコツと安打を重ね、少ないチャンスを生かす攻撃で早稲田佐賀を破った。
両者ともに、少ないチャンスを生かしコツコツと点を重ねていくスタイルのチームである。
投手力では聖光学院に軍配が上がるが、果たして2回戦ではどのようなゲーム展開をしていくのか、注目である。
広陵-秀岳館(9日目第1試合)
高校野球ファンであれば、決して見逃せない試合であるだろう。
広陵は1回戦で強豪・中京大中京と対戦。5回まで中京大中京・磯村に無得点に抑えられていたが、6回、大会屈指の好打者である中村の本塁打を皮切りに一気に逆転。7回にも集中打で突き放し、8回には中村に2本目の本塁打が飛び出しトドメを刺した。
一方、秀岳館も1回戦で名門・横浜と対決。川端、田浦のWエースを誇る秀岳館は、初回に3点を獲り横浜を突き放す。先発した川端は6回を投げ、猛打で神奈川大会を勝ち抜いてきた横浜高校を2安打に抑える好投。その後を任されたもう一人の左腕・田浦も2安打に抑え、安定した投球で横浜打線を封じ込めた。
そんな名門対決を勝ち抜いた広陵と秀岳館が、2回戦でぶつかり合うのだ。これは期待せざるを得ない。
広陵は、1回戦で2ホーマーの中村が秀岳館相手に自分のバッティングを見せることができるのか。対する秀岳館は、初戦でも期待に違わぬ好投をみせてくれた川端・田浦が広陵の強力打線をどれだけ抑えられるのか。
両者とも、1回戦で既に甲子園で勝ち抜いていく厳しさは充分に味わっている。決してラッキーパンチが通用する相手では無いだろう。お互いのチーム力が、大きく勝敗を左右する。どれだけ自分達の野球ができるかが、勝負の分かれ目だろう。
智弁和歌山-大阪桐蔭(9日目第2試合)
9日目は注目カードが目白押し。この智弁和歌山-大阪桐蔭という試合も、最注目の対戦である。
智弁和歌山は1回戦で興南と対決。興南が3回に6点を奪い、試合は決したかのように思えたが、これで終わらないのが名門・智弁和歌山。5回に林、冨田から本塁打が飛び出しすかさず同点に追いつくと、6回に1点を追加し遂に逆転。終わってみれば13安打、9得点で逆転勝利を果たした。
対する大阪桐蔭は1回戦で米子松蔭と対戦。初回に主将・福井が挨拶がわりのソロホームラン。その後も着実に得点を積み重ねていき、8得点の猛攻をみせた。鋭いスイングを生かし、長打、短打を織り交ぜた隙の無い攻撃は、まさしく大阪桐蔭らしい試合だったと言えるだろう。また、投げてはエース・徳山が7回を投げ被安打2、1失点の好投。ストレートとスライダーをうまく組み合わせ、8個の三振も奪った。
奇しくも広陵-秀岳館と同じ9日目に試合を行う智弁和歌山-大阪桐蔭。恐らくこの日は甲子園も超満員になることだろう。
智弁和歌山は初戦で9得点。大阪桐蔭も初戦で8得点。お互い、自慢の攻撃力を存分に発揮してくれるだろう。
智弁和歌山の先発は恐らく、6失点の北の後を好リリーフで引き次いだ平田。
対する大阪桐蔭は、初戦でも好投を魅せた徳山が先発する可能性が高い。
投手力では大阪桐蔭にやや軍配が上がるかもしれないが、強豪・興南相手に凄まじい逆転劇を魅せてくれた智弁和歌山の打力は油断できない。
お互いにノーガードの打ち合いになった場合、試合は智弁和歌山側に傾くだろう。
こちらも見逃せない名門対決。ぜひ、注目していきたい。
まとめ
いかがだっただろうか。まだまだ紹介しきれていない注目選手は数多くいるし、甲子園で急成長を遂げる選手も多いが、今回はそのなかでも厳選した選手を挙げさせていただいた。
もし、これを読んでいる方が気になる選手がいたら、是非注目してあげてほしい。
今年は初戦から好カード揃いであり、優勝予想を立てるのも難しいほどに混戦している。
果たして、深紅の優勝旗を手にし、最後まで笑っていられるチームはどこなのか。8月7日の開幕から、是非注目してほしい。
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