今回は、ピッチャーの球速を上げるための筋力トレーニングを紹介していこう。

高校生でも150キロを出すことが珍しく無くなってきたこの時代。

大阪桐蔭出身・辻内や、仙台育英出身の由規、花巻東出身の菊池や大谷は、高校生の頃から150キロを超える速球を投げ、球界を大いに沸かせた。

それゆえ、アマチュアのピッチャーといえど、以前よりも一段と速球のスピードが求められるようになってきた。

近年は筋力トレーニングも多様に充実し、さまざまな観点から研究されたことにより、一昔前よりも効率的で質の良い筋肉を鍛えられるようにはなった。MLBで活躍するダルビッシュ投手も積極的にウェイトトレーニングを採用し、素晴らしいストレートを投げ込んでいる。

また、高校生ながらプロ野球選手顔負けの肉体をしている選手も、近年はよく見受けられるようになった。

 

しかし、野球は闇雲に筋力を鍛えれば良いというものではない。

それどころか、無駄な筋肉をつけてしまえば身体の可動域が狭まってしまったり、思わぬ怪我を招いてしまう可能性すらある。

中でもピッチャーがピッチングの際に使う筋肉は繊細な部分も多く、見た目ばかりの筋肉を鍛えてもまったく球速が上がらなかったりする。

今回紹介するトレーニング方法は、持論を交えながらの説明となるが、私の経験談でもある。私自身、高校1年、2年と球速に伸び悩み、一時は投手を諦めようとしていた経験をした。

この経験と知識を今後に生かしてほしいという思いとともに、ピッチャーに必要な筋力トレーニングを紹介していこう。

スポンサーリンク

ピッチャーの球速を上げるための筋力トレーニング

まずは胸筋を鍛える

「見た目ばかりの筋肉を鍛えるな!」と言っておきながら、まず最初に「胸筋を鍛えるべし」といったのには意味がある。

ピッチャーは胸筋を鍛えるな、というのは良く聞く話である。

私も現役当時は、コーチ陣には口酸っぱく「ピッチャーは胸筋を鍛えるな」と言われ続けた。

これにはれっきとした理由もあり、胸筋を鍛えすぎると、ピッチングの際に腕の動きを胸筋が邪魔してしまい、結果的に良いボールが投げられなくなるからである。

だからこそ、ピッチャーは胸筋を鍛えるということに大して、やたらと臆病になってしまう。

しかし、ピッチャーにとって本当に胸筋はまったく必要無いのか、と言われれば、それは否である。

ピッチングは全身運動である。使わない筋肉など無いはずなのに、胸筋だけを不自然に鍛えなければ、それは身体のバランスを崩しかねないのだ。

大切なのは「鍛えすぎない」ということだけ。実際、私は胸筋を鍛えるようになってから、明らかに球速がアップした。

 

さて、胸筋の鍛え方には複数あるが、自宅でできる鍛え方の代表は「腕立て伏せ」だろう。

①腕を肩幅よりやや広めに開く

②肩甲骨の動きを意識しながら腕を下げていく

③肩甲骨がこれ以上寄せられないというところまでいったら、ゆっくり上げていく

これで1セット。これを10回×3セット行おう。

ポイントは肩甲骨の動き。ピッチャーは肩甲骨の可動域が大切であり、柔らかければそれだけしなりのある腕の振りができる。

この肩甲骨の動きを意識しながら腕立て伏せを行うことで、胸筋だけでなく肩甲骨の筋肉も使うことができるようになるのだ。

しかし、先述したが、やり過ぎは厳禁。基礎的な筋肉を付けられれば充分なので、10回でも多いと感じるならば、5回を3セット程度に抑えても良い

 

下半身を強化する

ピッチャーといえば、強い下半身は不可欠である。これは昔から言われ続けている理論でもあり、現代でも下半身は重要視されている。

しかし、だからといって闇雲に長距離をランニングするだけでは、球速はアップしない。(スタミナをつけるという意味ではとても重要だが)

もし長距離を走り続けるだけで球速がアップするならば、マラソンランナーは今頃全員160キロ投手になっているはずだ。

野球において重要なのは、”大殿筋”である。

大殿筋とは、簡単にいえば尻の部分。強いチームは、まず尻の大きさが違う。あるチームは、強くみせるために尻の部分にタオルを入れて大きくみせていたという話もあるほどだ。

この大殿筋を鍛えることにより、踏み出すときの勢いが増し、その分上半身に伝わるエネルギーも大きくなる。

 

大殿筋を鍛えるトレーニングで代表的なのは「ランジ」「スクワット」だろう。

ランジ

まずはランジでのトレーニング。

①画像を参考に、まっすぐ背筋を伸ばして立つ。(腕は頭の後ろの方が良い)

②そこから大きく1歩踏み出す。

③踏み出した足が着地したら、そこから腰を真下の方向にグッと降ろしていく。このとき、背筋はまっすぐに。

④元の体制に戻る。このとき、大殿筋が鍛えられているとフラつかない。

これを30回×3セット行う。

もし部内などでトレーニング環境があれば、バーベルを背負って負荷を掛けても良いだろう。一見すると簡単な動きだが、数回繰り返していくと大殿筋に負荷が掛かっていることがわかる。

ポイントは、キビキビと行うこと。スローなリズムで行ってしまうと、キレのある筋肉が育ちにくくなる。

スクワット

次にスクワット。これはピッチャーのコントロールを良くするトレーニング方法でも紹介したが、決して屈伸運動のようなやり方をしてはいけない。

①画像のように、膝はつま先より前に出ないようにする

②そのままお尻をグッと降ろしていく

③お尻と膝が平行の位置にきたら、戻す

これが正しいスクワットフォームである。これを30回×3セット行う。

このスクワットは、大殿筋だけでなく大腿四頭筋やハムストリングス、内転筋も鍛えることができるため、野球においてはかなり重要な下半身トレーニングと言えるだろう。

こちらもバーベルなどで負荷を掛けつつ行うと、効果は大きくなる。

スポンサーリンク

肩のインナーマッスルを鍛えるトレーニング

ピッチャーのトレーニングでは良く耳にするのが、この「インナーマッスル」。

しかし、「なぜ鍛えなければいけないのかはわからない」という人も多いのではないだろうか。

 

インナーマッスルは、肩関節周りにある細やかな筋肉のこと。ピッチングの際、「肩→腕」に力が伝わるのだが、その伝達をするのは大きな腕の筋肉では無く、このインナーマッスルなのである。

ボディービルダーが150キロを投げられないのは、インナーマッスルよりもアウターマッスルを重点的に鍛えているからだ。

ピッチャーはインナーマッスルを鍛えることにより、投げる際に伝わるパワーを効率的に使えるようになり、腕の振りも速くなる。結果的に球速がアップする。しかも、肩関節の周囲を補強できるため、肩の怪我の予防にも繋がるのだ。

 

さて、インナーマッスルを鍛えるのに効率的なのは「ゴムチューブ」を使ったトレーニングである。

このゴムチューブは最近では100円ショップでも販売されているため、入手は容易だろう。

①利き腕側をL字になるようにする。肘は身体にくっつけるように。

②反対の腕を脇の下に挟む

③画像のように、ゴムチューブを外側からから内側に引っ張る。肘は身体から離さないようにする。(肘を軸に肩関節を動かすイメージ)

これにより、肩関節まわりのインナーマッスルが鍛えられる。回数は50回×2セット程度が望ましいだろう。

 

もうひとつ、チューブをインナーマッスルの鍛え方として、

①チューブを正面から真後ろに引く

②肩甲骨の可動を意識し、可動限界まできたら戻す

というものがある。これは肩甲骨の可動域を広げる効果もあり、投手としては重要な肩甲骨の柔軟性を鍛えることができる。

 

他にもチューブトレーニングはいくつもレパートリーがあり、ストレッチなどに使えるものもあるため、1つは持っていても良いだろう。

まとめ

いかがだっただろうか。

先述したが、ピッチングは全身運動であるため、今回紹介したトレーニング以外にも、腹筋や背筋、体幹も同様に鍛える必要がある。(腹筋、背筋、体幹の鍛え方はこちら

ただ、今回紹介したトレーニングをしっかり続ければ、球速は次第に上がってくることだろう。

闇雲にではなく、きちんとどこが鍛えられているのか、何に使う筋肉なのかを意識しながら行えば、効果はより大きくなる。

150キロピッチャーを目指すために、まずはコツコツと小さな努力から始めてみよう。

関連記事

ピッチャーのコントロールを良くするトレーニング方法&練習方法

【野球/ピッチャー】変化球の投げ方&握り方や種類も解説!

【高校野球】歴代最強チームや年代別最速ピッチャーを紹介!